いよいよ本日から2018年シーズンのJリーグが開幕します。
サガン鳥栖vsヴィッセル神戸の試合は、史上初の金曜日開催の開幕戦ということもあり、Jリーグのファン、サポーターのみならず、メディアの注目度も例年以上に高くなっています。
私自身もJリーグが大好きで、毎週どこかのスタジアムに出かけ、熱く楽しい週末を過ごしています。また、現地観戦に行けない場合は、DAZNを使ってスマホやPCで試合を見ています。
DAZNとは、イギリスのスポーツコンテンツ会社「パフォームグループ」が運営する動画配信サービスです。日本においては、「パフォーム・インベストメント・ジャパン」が運営しています。現在は、Jリーグ以外にも、バスケットボールやバレーボール、総合格闘技、モータースポーツまで幅広くスポーツの動画を見ることができます。
DAZNがJリーグの配信を開始したのは、昨年の2017年シーズンからです。ちょうど1年前になります。それまでは別の放送サービスが試合中継を行っていました。さて、“DAZN元年”である開幕戦に、ある問題が発生しました。
試合をリアルタイムで配信していた、16時50分からの約20分間「映像が止まる」「データが読み取れない」などのトラブルが起こりました。さらに、翌日の試合でも同様のトラブルが発生したのです。
●DAZN、 Jリーグ開幕で配信トラブル システム不具合(日経)
サービス開始のタイミングは、メディアの注目度が高く、このトラブルは広く報道されました。また、Jリーグ開幕を楽しみにしていたファンやサポーターの怒りの声は、ネット上でも大きく拡散し、事態は拡大します。
システムトラブルの原因究明を進め、問題発生の5日後にパフォーム社は本件についての記者会見を行いました。会見の中では、ラシュトンCEOが「責任を重く受け止めている。先月のことは決して許されない」とコメントし、トラブルの原因や再発防止策、被害を受けたユーザーに対しての保障などを話しました。
このような記者会見の場に、トップが自ら登壇することは企業側の姿勢を伝えることにも繋がります。今回の場合、トラブルの影響を受けた人、視聴者は限られていました。しかし、2017年から有料放送がDAZNに移行した直後で、①社会的な関心が非常に高いタイミングであったこと、②DAZNというサービスに対する信頼が高いとはいえない状況であったことなどから、トップが出席する記者会見を開き説明したのは、「問題を重く受け止めている」ということが社会に伝わりました。
今回のようなシステムトラブルについて、企業側の主張を伝えて、利用者の怒りや反感を抑えることは非常に難しいです。しかし、このケースにおいてのDAZNは、トップが会見の場に現れ、事態の説明、ユーザーへの保障を示すなど、十分な対応を行っていたように思えます。
危機発生時にこそ、企業の本質が問われます。誰に何をどのように伝えるか、十分に考慮して、情報を発信していかなければなりません。
危機管理広報に携わる身として、Jリーグやスポーツ業界の広報対応についても注目しながら、今シーズンもさまざまな競技を見ていきたいと思います。
Y.O