広報のプロフェッショナルを目指す、ということ

皆様、お元気でしょうか。エイレックス代表の江良俊郎です。(※上のアイキャッチの写真は4月の外部講師の方をお招きしての社内勉強会の様子です)

過ごしやすい季節になっていますね。今日は社内イベントの下見を兼ねて、日比谷公園の中にあるレストランのテラス席で社員とランチを食べてきました。

さて、弊社でも2019年4月入社の新卒採用の選考が始まっています。すでに会社説明会を何度か開催し、多くの学生の方々にお越しいただき、また、エントリーをいただいております。ありがとうございます。

弊社の会社説明会では、ほとんど毎回、私がまず20分程度お話しします。国内のPR会社(エイレックスでは広報会社、広報コンサル会社という言葉を使っていますが)の業務から弊社の特徴、どのような方針で会社を運営しているか、弊社はどんな方々と働きたいのか、エイレックスが目指していること、社員みんなが大切にしている価値観などを説明しています。私としてはぜひ、新卒から広報業界に足を踏み入れてほしいと思いますので、弊社に限らず、挑戦していただきたいと思います。

広報業界に入るのはかなり狭き門。でも広報のプロが日本には足りていません。

ここ数年、広報会社・PR会社志望の学生が増えていると実感します。私もお世話になっている公益社団法人 日本パブリック・リレーションズ協会の会合などで、多くのPR会社の方々と接して情報交換しますが、皆さんそうおっしゃいます。

しかしながら学生の皆さんが広報業界に進みたいと考えていても、日本の広報会社・PR会社は新卒採用をしているところがまだまだ少ないように思います。即戦力となる経験者を採りたいから、という経営者も多いからでしょう。大手メーカーなど一般企業で広報部への配属を希望していても、新入社員を広報部に配属することはあまりないでしょう。(先日、経済広報センター主催の新任広報担当者向けセミナー 企業広報講座で講師を務めたのですが、この4月に採用された新卒者の方でいきなり広報部に配属になっていた大手企業の方もいましたので、皆無というわけではないのですね)

いずれにしても、新卒者の広報業界への就職はまだまだ狭き門といえます。弊社では、せっかく広報の仕事をしたいと希望する、志を持った学生を一人でも二人でも広報業界に迎えたい、彼らに少しでも門戸を開きたいと思い、会社設立直後から新卒採用を実施しています。

欧米先進国では、パブリックリレーションズの従事者は高い社会的評価と高度な専門職としてふさわしい報酬が得られており、プロフェッショナルな職業として広く認知されていますが、日本では、まだその地位が確立されているとは言い難く、特に、広報・PR会社のプレゼンスは広告代理店に比べると、まだまだですね。

「戦争広告代理店」というノンフィクションをご存知でしょうか?

旧ユーゴスラビアのボスニア紛争で、収束に導くきっかけとなった「民族浄化」に対する批判的な国際世論は、実は米国のPR会社、ルーダ―フィン社が手がけたのですが、その国際情報戦の裏側が描かれています。PR会社の業務であることが明らかであるにもかかわらず、日本では出版社がこのようなタイトルをつけたため、広告代理店の仕事のように誤解されています。恐らく、編集者が「戦争PR会社」ではインパクトがない、と考えたんだと思います。

ちなみに、来る6月7日、この「ドキュメント 戦争広告代理店-情報操作とボスニア紛争」(講談社)を執筆されたNHKの高木 徹氏を講師としてお招きし、近年の国際社会におけるメディア情報戦はどう変化しているのか、といった内容のセミナーを開催しますので、PR協会会員の方は、是非、ご興味ありましたら第192回定例研究会からお申込みください。(日本パブリック・リレーションズ協会主催で協会会員限定ですのでご了承ください)

さて、ここからはかつて私が書いた文章を再掲します。

プロフェッショナルとは

さて、プロフェッショナルといえば、朝日新聞(2012年)3月2日の朝刊「ひと」欄に、いわゆる「マチ弁」(街の弁護士)から最高裁判事に就任した山浦善樹弁護士の話を、司法担当記者の山本さんが書いていました。

大学を卒業して銀行に就職したものの、肌に合わず1年で退職した山浦さんが、「道に迷ったとき、無医村で診療所を開いた妻の父の生き方が浮かんだ。困っている患者がいれば夜中も山道をスクーターで往診した。私もそんな人間になりたい」と、弁護士を目指して「マチ弁」になり、恵まれない人のために生きようとしてきた、というようなお話です。

「プロフェッショナルとは?」という議論になると、「ヒポクラテスの誓い」の話がよく出てきます。これは医療従事者の間でそう呼ばれるものですが、人道にささげる、良心と威厳をもって意を実践する、患者の健康と生命を第一とする、患者を差別しない、といった内容で、9カ条として知られています。「ひと」欄の朝日の記事を読んで、このような医師や弁護士がそうなのだ、と改めて思い出した次第です。

「プロフェッショナル」とは、本来は、「神に誓いを立てて、これを職とする」という聖職者のことですから、「プロ野球選手」「その道のプロだ」というような日本での使われ方は、本来の意味ではないのですね。

私も惚れている高橋俊介氏の著書「プロフッショナルの働き方」(PHP出版)では、プロフェッショナルの定義を「高度な専門性を活用し、個別性が高い問題に対して第一線で創造的に価値を生み出す職業。政治的意図や株主価値、組織の都合などのバイアスを排除し、クライアント(依頼主)の意向のみを重視する、きわめて独自性の強い職業団体や職業集団」としています。

HITOTSUGI STREET EYE!~赤坂一ツ木通りで働く広報コンサルタントの視点~

つまり、高度な専門性があるだけでは足りず、問題・課題の解決やあらたな価値を提供していること、会社の都合よりもクライアントを重視することということなのです。他にも、コミッションではなくフィーという考え方、目の前の顧客に臨機応変な個別対応ができること、などを挙げています。

プロフェッショナルな職業としての広報コンサル

このような職業は、一般的には、医師、大学教授、弁護士、公認会計士、コンサルタントとされていますが、高橋氏はプロフェッショナル化に向いている仕事の特徴として

「一つ目は、上司よりも顧客が大事である。二つ目は、分業によって細分化されたうちの一部を担うのではなく、ある程度自己完結できて自分で価値が生み出せる。三つ目は、同じことの繰り返しでなはく、個別事情への対応などで常に創意工夫が求められる。」と続いています。。。こ、これは・・・、まさに、当社で日々行われている業務といえます。

弊社は、PRエージェントの業務や広報代行業を行ういわゆる“PR会社”とよばれるよりも、プロフェッショナルな広報コンサルティング会社と位置付けられたいという思いで、全員の名刺に”public relations cnsulting firm”と印刷されています。社会正義の実現と高い倫理観に基づき、プロフェッショナルな働き方にこだわり続けていければと思っています。

というわけで、危機管理広報、企業広報のコンサルタントとして、プロフェッショナルな働き方を考えている方は、ぜひ、わが社でみんなで刺激し合って一緒に成長していきましょう。

江良俊郎

 

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