7月三連休の土日は、社内恒例のオフサイトミーティングだった。年に一度、オフィスから離れた場所で実施する、社員全員が参加する研修である。
かつては軽井沢、那須、熱海、大磯などに足を延ばし、ハワイに行った年も1回だけあったが、昨年は幕張、今年は都内(世田谷区)とだんだん近場になってきた。
オフサイト研修の目的は、会社のビジョンを再確認すること、社員間のコミュニケーションを高めること、業務のスキルアップのヒントを得ること、そして仕事や人生について、一歩引いて俯瞰的に考えること──の大きく4つ。
来春入社予定の内定者の二人にも、当社のことや社員をよく知ってもらう良い機会なので、参加してもらいました。
初日土曜のプログラムは、まず午前中が「職場内のコミュニケーション」について。
自分のコミュニケーションのタイプを知り、その上で、タイプの異なる上司や部下にどうアプローチすべきか気づきを得るのが目的だ。
コミュニケーションのタイプ(気質)は①コントローラー(支配者)、②プロモーター(発起者)、③サポーター(支援者)、④アナライザー(分析者)の4類型に分かれており、社員はアンケートに答え、自分のタイプをまず知る。
といっても、アンケートだけでは、ひとつのタイプに定まるとは限らないので(私の場合、今回はコントローラー、サポーター、アナライザーの3者同点)、暫定的にコレっと思ったタイプのグループに分かれ、グループごとに「ストレスに感じること“あるある”」「快適なこと“あるある”」を思いつくまま模造紙に書き出した。この過程で、どうも自分はこのタイプは合っていない、と感じれば、自分に合ったタイプのグループに移動可能だった。
「あるある」を出し合いながら各グループともに大盛り上がりだったが、とても面白かったのは、模造紙への書き出し方が、タイプごとに違った点である。
アナライザーのグループが模造紙を「ストレス」と「快適」に二分し、書記役のひとりがメンバーが話す「あるある」を漏らさず書き出していったのに対し、プロモーターのグループはメンバー各人がそれぞれ思いつくままに模造紙に記入記入記入。結果、他グループは読解不能だった。一方、サポーターのグループはまず話し合って合意形成し、下書きをした後に、模造紙に書き出していた。
ちなみに私は今回、アナライザーのグループで作業をして納得感があった。
一応、プロモーター・タイプの名誉のために、この日お招きした講師はご自身がプロモーター気質であり、そのためプロモーターを他のタイプよりも戯画化して説明していたことは、付言しておきたい。
続く午後のセッションは、前半がリーダーシップとフォロアーシップについて。後半が巻き込み力アップのためのアサーション(自分も相手も大事にした表現方法)だった。
フォロアーシップを「リーダーを能動的にフォローし、チームの成果を最大化する力」「リーダーシップの一形態」と定義したうえで、フォロワーについて「リーダーに従う受動的な人」ではなく、「目標達成に貢献する」「具現化する」「提案する」能動的な人たちであると先生は強調していた。
その後、会社内のポジションに応じてリーダー層のグループ2つ、フォロアー層のグループ4つ、計6グループに分かれ、それぞれが「良いリーダーとはどんなリーダー?」「良いフォロワーとはどんなフォロワー?」という2つの問いに対する答を模造紙に書き出し、記入後の6枚の模造紙を壁に張り出した。
リーダーたちは、フォロワー層の4グループが記した「良いリーダー像」を読み、またフォロワーたちは、リーダー層2グループが記した「良いフォロワー像」を読み、お互いからヒントをもらった。
ちなみに、私が心に留めようとメモした「良いリーダー像」の項目は以下。
・余裕がある
・博愛、公平性
・一貫性
・任せる
・話しかけやすさ
・メンバーへのアテンション
後半アサーティブ・コミュニケーションでは、「アイ・メッセージ」なる方法を教わり、練習した。
混同してしまいがちな事実と主観を区別したうえで、①まず客観的な事実のみ(主観、批判、評価を加えずに)伝える、②事実に対する自分の気持ちをアイ(I,わたし)を主語にして、建設的に伝える──という方法だ。
意見したい相手がいるわけだから、主語は「あなた」になりがち。しかし、「あなた」を主語にすると、「私の主観・批判・評価」が述語に連結しやすく、批判的、偉そう、上から目線のコメントになり、相手を傷つけてしまう。シンプルだが、応用範囲は広そうだ
一方、2日目日曜日は、午前はモチベーションのスイッチの入れ方、午後は怒りのコントロールの方法、と心理学をベースにしたセッションだった。
年の功なのか、普段の仕事で自分自身はさほどモチベーションの高低を意識していなかったのだが、同じテーブルの若手が、モチベーションの上がる要因として「評価・承認を得られている」「この仕事は自分に合っているとの適職性を感じている」「気分よく働けているか、面白みや達成感を感じている」などの点を挙げているのを見て、改めて基本──すなわち、メンバーに期待をかけ、信頼し、見守る。期待に応えてくれたことを、明示的に評価する(山本五十六の名言の3番に相当しますかね)──の重要性に気づかされた。
都内、小一時間の距離で、かなり充実していた2018年のオフサイト研修。いくつかの気づきを仕事に生かしていきたい。
平野