土用の丑の日 平賀源内

 今、日本はまさに灼熱列島と化しています。猛暑が続くこの時期の夏バテ対策食材に「うなぎ」がありますが、まさに今日は土用の丑の日。うなぎについて少し触れてみたいと思います。
 うなぎといえば、ニホンウナギの稚魚シラスウナギが今期は極度の不漁で、国内外での漁獲量が前期の同じ頃と比べてわずか1%程度と低迷しているというニュースが正月早々報じられたことは記憶に新しいところです。2013年に絶滅危惧種に指定される一方で、完全養殖の成功例も報じられていますがこのうなぎが市場に出回るまでにはまだ時間がかかるようです。
 日本人にとってうなぎは、昔から親しまれてきた食材で、古くは約5000年前の縄文時代の貝塚からうなぎの骨が出土しているそうです。また、文献上で初めてうなぎが登場するのは万葉集の中の大伴家持の歌で、当時はうなぎではなく「むなぎ」でした。
石麻呂に 吾れもの申す夏痩せに
よしといふものぞ むなぎ(鰻)とり召せ
奈良時代から日本人に親しまれてきたうなぎも、今では高級料理の代名詞とも言える存在になり、庶民にとっては家庭の食卓に気軽に出るメニューではなくなってしまいました。その原因はやはり乱獲に有るといえますが、うなぎの生態が未だに解明されていないことも多いとはいえ、いずれ完全養殖が確立され市場に安定的に供給される状態になれば品薄状態が改善されることでしょう。
 反対に、以前は高級品でしたが、今は非常に安くなったものもあります。良く例に挙げられるのがバナナで、昔は病気したときくらいしか食べられなかったと言われたものですが、今では毎日家庭のテーブルに出てきます。そのほかにも牛肉、洋酒なども劇的に安くなっていますが、主に輸入していたものが多いようで、これらは食文化の変化以外にも税率などが価格に大きく影響しています。
 こういったうなぎやバナナの価格は、ある長い期間を経た中での変化であり「歴史」と言うものさしでも計れるようなスパンです。一方、今、世の中はかつて無いスピードと経験したことのない内容で大きく変ろうとしています。政治、経済、教育、医療等、どの分野でも大きな変化の波が押し寄せており、仕事であれば常に情報・流れの先端に居る必要が有り、立ち止まることが許されることはほとんど無いかもしれません。
まして、個人がこの変化の波の先端に居続けることは大変な努力が必要ですし、個人と言う限られた環境では不可能ともいえます。情報が溢れかえっている現代で、この変化の波に飲み込まれないためにも、自分の軸(ものさし)をしっかり持つべきだということも言われ始めています。
 さて、話をうなぎに戻します。ところで土用の丑の日になぜうなぎを食べるのでしょうか? 諸説あるなかで、ご存知の方も多いと思いますが、平賀源内説が有名です。

平賀源内.jpg

(概要)夏はうなぎの旬の時期ではなく、濃厚な味の蒲焼はなかなか売れなかったため、鰻屋から相談を受けた平賀源内が、「本日土用の丑の日」と書いた看板を店の前に掲げさせた。聞き慣れない言葉が書かれている看板に足を止める人を、鰻屋の主人が呼び込んで、その鰻屋は大繁盛した。他の鰻屋もまねをするようになり、以来、土用の丑の日にはうなぎを食べるという風習が定着していった。
 まさにこれはコンサルティングそのものですね。
土用の丑の日のうなぎが、販売促進コンサルティングの結果定着したものであれば、広報コンサルティング会社にいる私にとって、何となく親近感を感じてしまいます。
さあ、うなぎが好きという自分の軸で財布の紐全開で「うなぎ」を食すべきか、、、
それとも変化の波に乗って「うな次郎」を食すべきか、、、
どうでもよい悩みを楽しんでいます。
SHUN