人を咎める前に

10月1日に消費税が10%に増税され、早くも3度目の週末を迎えます。
キャッシュレス決済による還元制度も始まりましたが、皆さんは活用されていますでしょうか。
先日、「日経ビジネス」サイトに気になるニュース記事が掲載されました。
「ドトールとタリーズ、イートイン脱税を誤認する『正義マン』対応に知恵」(2019年10月16日)(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/101600775/)
記事によると、税率が店内飲食(10%)と持ち帰り(8%)で異なるため、レジでは「持ち帰る」と申告しながら店内で飲食していると思われる客を告発する行為を「正義マン」と呼ぶそうです。
「正義マン」「イートイン脱税」という言葉に棘があるように感じますが、「不寛容社会」を象徴する出来事として、興味深く感じました。

 

他者の行為を「許せない」「制裁してやろう」という気持ちが社会に蔓延しているのならば、極めて残念に思います。
記事では、大手飲食チェーンが対策として“持ち帰り用の紙コップに店内飲食を示すシールを貼る取り組みを始めた”と紹介しています。不寛容な社会から、現場の店舗はもちろん、本社のカスタマーサービス部門や広報部門の業務も増えていることが考えられます。
備えるべきリスクも日々多様化しているのではないでしょうか。

 

広報対応上の視点で問題を考えると、そもそも税制に関する説明や議論が充分だったのか、という点が気になります。
arexでは、危機発生時の対応の際、要素の一つとして「社会や生活者からの見え方を意識するべき」とアドバイスをしています。
軽減税率やキャッシュレス決済の還元については、「この場合はどうか」といった混乱の声が導入前から報じられていました。個人的には、複雑化する税制をこれまで以上に丁寧に、1人でも多くの人が理解できるように説明をしていればと感じます。
また私達一人ひとりも、「おかしい」と憤り行動に移す前に、冷静かつ広い視点を持つことが求められていると思います。記事にある「一時的に店内で休憩(飲食)してから、余りを持ち帰りたい」といったニーズもあるでしょう。

 

「不寛容社会」では人を咎める前に、まずは一旦落ち着いて、「なぜこんな結果になったのだろう」と考える冷静さが求められているように感じています。
私自身も自戒を込め、カッとせずに日々を過ごして行きたいと、記事を読んで反省しています。
(S.N)
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