キックオフで浮かび上がった2022年のデコボコ道

例年1月から2月にかけて、クライアント企業がキックオフ・ミーティング(新年度の計画などを社員で共有するための年最初のミーティング)を開き、私たちもそれらのいくつかに参加(傍聴)させていただいています。

エイレックス自身も2022年キックオフを先日、約2時間かけて実施しました。

会社の方針・戦略を共有するのがキックオフの主目的ですが、当社の場合、そのパートの前座として、これからの1年がどんな年になりそうか、外部環境を整理するパートがあります。

メディアで報道されているさまざまなキーワードを参考に、2022年予想をいくつかの単語に落とし、可視化する試みです。新年に入って約50日経過しているので今さら感はありますが、その一端を紹介すると…

まず2022年は、壬・寅(みずのえ・とら)。寅(とら)は、演(人の前に立つ)とか、延(成長する)の意味を持ち、コロナ禍からの再スタートにはふさわしいプラスのイメージを持っている半面、歴史的には世界的な危機と結びついています。

朝鮮戦争(1950年)、キューバ危機(1962年)、チェルノブイリ原発事故(1986年)、ロシア危機(通貨ルーブル暴落、1998年)、ギリシャ危機(2010年)。いずれもたしかに寅年に発生しています。

一方の壬(みずのえ)。妊(はらむ)、任(になう)などを意味するそうで、これも再スタートを予感させる漢字ですが、この年はなにかと中国関連のイベント、インシデントがあるみたいです。

たとえば、中印国境紛争(1962年)、日中国交正常化(1972年)、中韓国交正常化(1992年)、中国・台湾のWTO加盟(2001年12月~2002年1月)など。

今年の寅(危機)や壬(中国)が、目下のウクライナ危機や北京五輪を指しているのであれば、いいのですが、もっと大きな危機や、中国関連のインシデントがこれから控えているようだと、怖いですね。

次に2022年の特徴は、選択(選挙)の年であること。日本は7月の参院選です。過去2007年、2010年の参院選はその後の政権交代の起点になっていますから、国政ではこれが一大事です。

海外でも大きな選挙が続きます。早3月には韓国、4月にはフランス、5月フィリピン、10月ブラジルと大統領選が予定され、11月には米中間選挙が控えています。

経済面では、2022年はインフレ懸念がどう落ち着くのかが焦点になるはずです。

2年前にコロナ禍に突入して以降、生産抑制、感染防止のための行動制限、感染に伴う人手不足、景気刺激策とワクチン普及、などがバラバラ、チグハグに進んでしまった結果、供給面でのボトルネックや輸送網の目詰まりが生じてしまいました。サプライチェーン・クライシスに、エネルギー価格の高騰が重なり、1月の米CPI(消費者物価指数)は前年比7.5%増、1982年2月以来約40年ぶりの高い伸びを見せました。

その結果、Transitory(トランジトリー=一時的な、つかの間の、はかない)、Temporary(テンポラリー:一時的な、当座の)などと昨年11月ぐらいまでは形容されてきた欧米のインフレ懸念は、いつの間にか Persistent(パーシステント=持続性の、しつこい、なかなか去らない)、Perpetual(パーペチュアル=永遠の、果てしない)などと表現されるようになっています。

株価も2022年に入ってから、下落後、一進一退が続いています。

マクロ経済を見た後、クライアント企業が属する産業、顧客の情報環境、広報業界へと徐々にフォーカスして外部環境を整理していった次第ですが(割愛します)、結論は、2022年は過去数年に比べとてもわかりにくい一年になりそうだということ。

禍から脱け出て、なんとか再スタートを切って前進してはいるものの、地理的な危険を横目に、自分の進むべき道を選択しながら、いつまで続くかよくわからないデコボコ道を振り落とされないよう慎重に運転し続ける…。そんな一年になるのかもしれません。

H.H.

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