本年6月26日、東京電力管内で27日の電力需要が逼迫する見通しになったとして、「電力需要逼迫注意報」が発令されました(注意報は、早めの節電を呼びかけるため5月に新設、発令は初めて)。電力需要の予備率の見通しが5%下回ると注意報、3%を下回ると警報が発令されます。「電力需要逼迫注意報」は6月30日まで発令されましたが、「一定の需要を抑制でき、十分な予備率を確保できる見込みになった」として解除されました。
では、電力需給の逼迫はなぜ、回避できたのでしょうか。
この4日間、猛烈な暑さで電力の需要が6月としては歴史的に高い水準が続き、太陽光発電の出力が落ちる夕方には需給が逼迫すると見込まれていました。
特に30日は、電力供給の余力を示す「予備率」の想定が午後4時半から午後5時にかけて3.2%にまで低下する見通しでしたが、実際には予備率は7.4%と想定を大きく上回りました。
逼迫を回避できた理由について、資源エネルギー庁は需要と供給の両面から次の通り説明しています。
需要面では家庭や企業の間で節電の取り組みが広がったことで最も厳しい夕方の電力需要が一定程度、抑えられ予備率が改善したとしています。
また、供給面では資源エネルギー庁の呼びかけに応じて自家発電設備を持つ企業などが設備の稼働率を高め電力供給を大幅に増やしました。
コロナ感染予防対策への政府の協力要請や感染拡大防止のお願いに対しての国民の皆さんの姿勢と同様に、今般の節電への取り組みへの対応も、「要請やお願い」でも国民の皆さんが真面目に従うという点では、日本国民らしいなと感じました。
電力逼迫というとすぐ思い出すのは東日本大震災直後の電力危機です。震災直後の2011年3月は設備被害や原発事故に伴う電力供給低下により東京電力管内で輪番停電を実施。管内では、3月14日から28日にかけて計画停電を行いました。周知の方法や区割り等を巡って混乱が発生したほか、停電に伴って社会活動全般に影響が生じました。
当時、私は、通勤に東急東横線を利用していましたが、通常はネオンや企業、ビルの電気で夜も明るい中目黒が真っ暗。今でもその異様な状況が思い出されます。幸い住んでいた所は計画停電は実施されませんでした。
福島第一原発事故のあと、日本中の原発を停止。地震や津波に耐えられる強度があるか、安全面での審査が慎重におこなわれています。
この、震災直後の「計画停電」は、日本中が「節電」への意識を強く持ちはじめたきっかけになったと思います。また、「太陽エネルギー」による「太陽光発電」を始めとした、「再生可能エネルギー」への注目が高まりました。太陽光発電の「メガソーラー」が建設され、屋上や屋根の上にソーラーパネルを置く建物も。大人や子どもが、身近な場所に「発電」や「エネルギー」を意識するようになりました。
エイレックスでも節電を行っていますが、役所などの公的機関は節電のため日中から薄暗く、やはり通常ではない気がします。首相は、安全確保が大前提としたうえで、原発の最大限活用を語ったり、停止中の火力発電所の再稼働を進めるなど、電力供給量の確保に万全を期すとしています。インフラ整備、特にライフラインの整備はまさに危機管理の最たるものです。
私は明るい部屋が好きです。もちろん必要以上の無駄は排除すべきですが、気兼ねなく電気を点けたいものです。
SK