少し前ですが、大ヒットを記録している映画「THE FIRST SLAM DUNK」を観に行きました。原作のバスケットボール漫画「スラムダンク」は、1996年の連載終了以降も、根強い人気を誇っていて、その待望の映画作品ということで、かくいう私もとても楽しみにしていました。
ネタバレはしませんが、キャラクター一人一人の動きが緻密に描かれていて、私としては実際にバスケットボールの試合を見ている気分になりました。「スポーツ映画」と言っても過言ではない完成度だったと感じています。なおかつ、自分が少年のころに読んでいた原作の場面が思い起こされるシーンもたくさんあり、ファンとしても非常に満足できました。
ご存知の方もいると思いますが、この映画は公開直前まで、物語の詳細や映像の一部ですら明らかにされていませんでした。公開約1カ月前に発表されたキャスティングはSNS上で一部炎上する事態に至り、前評判は低かったと思います。
しかし、ふたを開けてみると、興行収入は100億円超え。高い評価のクチコミが相次ぎ、原作を知らない年代の支持も獲得しているようです。
従来、映画作品の多くは公開数カ月前から「予告」などであらすじを明らかにし、重要シーンの映像などで期待感を高め、潜在観客の関心を集めるプロモーション戦略を取る傾向があります。「THE FIRST SLAM DUNK」はそれとは真逆の戦略でしたが、積極プロモーションをしないからといって何もしないということではなく、情報管理の徹底や多くの関係者との調整など、裏側での手間とコストは相応にかかっていたものと想像します。
推し量ることしかできませんが、制作サイドには、観てもらえればきっと多くの人に満足してもらえるという自信があり、事前プロモーションには頼らない戦略を選んだのだと思われます。
こうしたプロモーション戦略の成功例は、広報の視点からも考えさせられることが多いです。今年も良作を見つけられますように。
T.I.